電気工事士の仕事とは？詳細・種類・必要な資格

現代社会の発展とともに、電気は私たちの暮らしに欠かせない存在となっています。スマートフォンやパソコン、大型テレビ、エアコン、スタジアムのビジョン、街のネオンサインなど、多くの便利な技術は電気によって成り立っています。

こうした電気のインフラを支えているのが「電気工事士」という職業です。人々の暮らしを安全かつ快適に保つために、欠かせない役割を担っています。

本記事では、電気工事士の主な仕事内容、資格取得に必要な情報、そしてこの仕事の魅力ややりがいについて、わかりやすくご紹介します。

電気工事士の具体的な仕事内容とは？

電気工事と一口に言っても、その種類や業務範囲は非常に広く、仕事内容も多岐にわたります。ここでは代表的な2つの分野——「建設電気工事」と「鉄道電気工事」についてご紹介します。

① 建設電気工事

建設現場で活躍する電気工事士は、官公庁や学校、工場、オフィスビル、病院、住宅など、さまざまな施設の電気設備の設計・施工を担当します。
業務には、変電設備の配線作業や大型機器の制御システムのメンテナンスから、コンセントや照明器具の取り付け、電球の交換に至るまで、幅広い作業が含まれます。

新築工事の場合は、電気配線の設計から始まり、配電盤や各種設備の取り付けまで、一からすべてを構築します。また、既存建物における改修や電気設備の追加工事などにも対応しており、個人住宅から企業施設まで対応範囲は非常に多様です。

電気工事は通常、他の建築作業と並行して行われ、複数人のチームで協力して進めることが一般的です。大規模な現場では、施工管理者や現場監督の指示のもと作業が進められます。空港やダム、コンビニや住宅など、施工場所も多彩で、毎回異なる現場を経験できるのもこの仕事の魅力です。

※電気工事に付随する補助作業として、仮設電柱の設置、塗装作業、セメント補修など、電気とは直接関係のない作業が発生することもあります。

② 鉄道電気工事

日本の鉄道が「世界一正確」と言われる背景には、高度に整備された鉄道電気システムの存在があります。

鉄道電気工事士は、列車に電力を供給する架線設備、信号システム、踏切装置、駅構内の照明、通信設備、さらには発電所・変電所の整備まで、幅広い業務を担当します。

これらの設備の点検・修理・更新作業に加え、自動改札機や電光掲示板などの機器もメンテナンスの対象です。鉄道工事は安全性・正確性が重視されるため、工事を請け負う企業には高い技術力と信頼性が求められます。一定の基準を満たした業者しか参入できない専門性の高い分野です。

電気工事士の資格とその適用範囲

• 第二種電気工事士とは？

第二種電気工事士の資格を持つことで、一般用電気工作物に関する電気工事を行うことができます。

ここで言う「一般用電気工作物」とは、一般家庭や小規模店舗などで使用される600V以下の低圧電力を受電する設備、または道路の電柱から変圧された低圧電力を受ける設備を指します。

この資格は、独学や電気系の専門学校・工業高校などで学ぶことで比較的取得しやすく、初学者にも人気の高い資格です。

• 第一種電気工事士とは？

第一種電気工事士の資格を取得すると、一般用電気工作物に加え、最大電力500V以下の自家用電気工作物に関する工事も可能となります。

「自家用電気工作物」とは、主にビル・工場などが高圧または特別高圧で受電し、電柱上の変電設備から直接電力を受けて使用する設備を指します。このため、第一種の業務範囲はより専門的かつ広範囲です。

資格取得の条件と試験内容

        第二種電気工事士は、特別な実務経験がなくても受験が可能で、筆記試験と技能試験に合格することで取得できます。

        第一種電気工事士を取得するには、原則として5年以上の実務経験が必要です。

試験に合格するには、施工図面を正しく読み取り、安全かつ適切な電線の敷設計画を立てる能力や、電気設備に関する法令を遵守し、事故や火災を未然に防ぐ計画力が求められます。

なお、実際の業務内容を詳しく知りたい方は、現在有資格者を募集している企業の求人情報をチェックすることで、実務イメージを具体的につかむことができます。

電気工事士という職業のやりがいとは？

電気工事士の仕事は、現代社会において欠かすことのできない非常に重要な職種のひとつです。

阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模な自然災害を経験した日本では、「電気が使えない状況」がどれほど社会に混乱をもたらすかを多くの人が実感しました。

たとえ電話線が無事であっても、電気が通っていなければ電話も通信も機能しません。電車は停止し、都市部では帰宅困難者（いわゆる「帰宅難民」）が大量に発生します。テレビやインターネットも使えず、情報を得る手段が途絶えるのです。

真夏・真冬であれば、冷暖房が使えないことは命にかかわる問題となりかねません。

このような経験を通じて、多くの人が「電気の重要性」を改めて認識しました。そして現在、社会や産業構造が大きく変化する中、電気を支える人材として電気工事士の価値はますます高まっています。

未来を支えるキャリア

電気工事士の仕事は、決して単なる作業ではありません。
建物や街全体を「電気の通った空間」として機能させ、人々が安全かつ快適に生活できるよう、見えないところで支えています。日常の当たり前を維持し、災害時には命を守る最前線に立つ。
この仕事には、社会貢献性と使命感が詰まっています。

しかも近年では、再生可能エネルギーの普及やスマート住宅、IoT化の加速によって、電気工事士が活躍するフィールドはますます広がっています。つまり、電気工事士は将来性あるキャリアとして注目されているのです。

24時間、電気を守るプロフェッショナル

今この瞬間にも、日本各地で電気工事士たちが昼夜を問わずインフラを支え続けています。

誰かの生活を守る。社会を止めないようにする。このような想いと誇りを持って働くことができるのは、電気工事士ならではのやりがいです。

結論

電気工事士は、単なる技術職ではなく、人々の命と日常を支える社会的使命を担った専門職です。
変わりゆく時代の中で、過去の経験を糧にしながら、これからの日本を築いていく——
電気工事士というキャリアは、過去にも未来にも希望が持てる仕事だと言えるでしょう。